投資損益計画(予測)の重要性

前々回の記事で書きましたが、会計の本質は投下資本の回収計算です。
したがって、設備投資を行う際に最も重要な意思決定の基準は、
「その投資を行うことに見合う回収ができるかどうか?」にあります。
回収ができなければ「過剰投資」となってしまうことも前々回で書きました。
そこで、投資を考えるにあたっては回収できるかどうかを慎重に検討する必要があります。
これが投資損益計画(予測)といわれるもので、設備投資の判断に当たっての決定的に重要となります。

損益計画を立てるにあたっては設備投資から得られる収益を見込むことになるわけですが、
前回書いたように、一口に設備投資といってもその内容はさまざまであり、
そこから得られる収益(回収)も個々の投資計画ごとに異なってきます。
問題はその得られる収益ー費用の額と、その期間です。

まず、収益の額から考えていきましょう。
収益額=単価×数量 で計算されます。
医療機関における設備投資の場合、ほとんどは社会保険診療を想定しているでしょうから、
単価は保険診療点数という「定価」になっています。
また、自由診療の場合も、よほど特殊な診療でない限り他院との関係からある程度の「定価」が決まってきます。
したがって、念入りに予想しなければならないのは「数量」だということになります。
数量とは自院への来患数ですが、現在は年齢・男女別に傷病分類別の施設種類別推計患者数が厚生労働省から公表されています。
また、人口については各市町村のHPなどで公表されています。
これらの統計データを元に、自院の診療圏内で推定される潜在患者数を求めることができます。
さらに、潜在患者数に自院の市場占有率を乗じたものが来院患者見込み数となります。
来院患者見込み数×設備に関連する治療・診療行為の発生確率×診療報酬単価=その設備から得られる収益見込
となります。これが経済的に何年継続できるかで設備に係る総収入が求められます。
このとき、くれぐれも楽観的な予測を立てないことが重要です。
設備を導入すれば占有率が上がるという予測はできるかもしれませんが、それが「どの程度」かは難しい予測になります。

次に費用の面を考えてみましょう。
まず、設備投資を行った後は、減価償却費が発生します。
これは、初期投資額を設備の耐用年数(使用できる年数)に配分する作業です。
したがって、初期投資額が小さければ減価償却費は小さくなりますし、耐用年数が長いほど毎年の減価償却費は小さくなります。
しかし、設備には必ず寿命がありますし、永久に使い続けられる設備はありません。
また、使用に伴って得られる収益は設備が古くなるにしたがってだんだんと少なくなると言われています。
このため、損益計画を立案する際には、設備の耐用年数を元に計画を立てる必要があります。

次に設備のランニングコストを考える必要が出てきます。
ランニングコストには保守料、電気・水道料、固定資産税、修繕費などが含まれます。
また、設備導入に伴って人員を増やす必要があれば人件費も考慮しなければなりません。
逆に、業務効率化のための投資であれば余剰人員が発生するかもしれません。
しかし、余剰人員の整理は実際には難しい問題となりますので、人件費を削減するような計画は慎重に考慮すべきです。

さらに、収益-費用で利益が出れば(というか利益が出なければ投資を行うのが正しいのかということになります)税金を考慮する必要も出てきます。
税金は必ず発生するコストですので、忘れないようにしましょう。

このブログ記事について

このページは、yoshikawaが2018年11月29日 14:27に書いたブログ記事です。

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