2020年10月アーカイブ

投資損益計画について

前々回の投稿に関連して、投資損益計画について書きたいと思います。

会計は損益を計算するものですが、その本質は、投下資本の回収計算です。
設備投資や人材確保等を行う際に、意思決定の最も重要な基準は、
「その投資(資本投下)を行うことに見合う回収ができるかどうか?」にあります。
回収ができなければ「過剰投資」となってしまい、結果として赤字につながります。
したがって、投資を考えるにあたっては、回収できるかどうかを慎重に検討する必要があり、投下資本と回収の計画を立てることが望ましい(というか絶対に必要)とされています。
これが「投資損益計画」といわれるものです。

損益計画を立てるにあたっては、設備投資から得られる収益を見込むことになるわけですが、
一口に設備投資といってもその内容はさまざまであり、そこから得られる収益(回収)も個々の投資ごとに異なってきます。
ポイントは、その得られる回収額とその時期、及び期間です。

回収(収益)額に何を持ってくるかについては、いろいろな考え方ができます。
最初に思いつくのは売上高でしょう。売上高を回収と考える場合、
回収額=売上高=販売単価×販売数量 で計算されます。
この場合の回収見込は販売単価の設定と、設定した単価のもとでの販売数量予測から構成されます。
ただ、実務的にはその単価設定と販売予測が一番難しいのですが・・・

次に、キャッシュ・フローを回収額と考える方法があります。売上高が上がっても、入金が遅れれば手元に入ってくる資金は増えません。
投資計画は、一定期間における資金の投入と回収の計画ですので、回収額としてはキャッシュ・フローのほうが優れています。

さらに、投資の回収については時期と期間も大事です。投資の回収には一定の時間がかかるため、時間価値の調整が必要になってくるためです。

たとえば、投資収益率を年率5%で予定する場合、現在手元にある100万円と1年後の100万円の価値は違います。
現在の手元にある100万円を投資すれば、1年後には105万円になるからです。
逆に言えば、1年後の100万円に等しくなる現在の手元現金は、
100万円÷(1+0.05)=952,381円となります。
このような考え方を「割引現在価値」と言います。

これらの考え方でもって各種の投資計画(長期的経営意思決定)評価を行うのですが、
具体的な手法には「期間利益(原価)比較法」、「内部利益率法」、「正味現在価値法」、「回収期間法」などの方法があります。

これらの方法についてここで詳細に述べることはしませんが、
私としては、大事なのは
「やりたいことを持続可能な形で実現するためにどうするか」
であり、これを判断するために計画や各種の評価手法があると考えています。
まあ、口で言うのは簡単なのですが・・・

Go To トラベルの消費税処理

7月から開始されたGoToトラベルキャンペーンですが、この10月からは東京発着も対象となりました。また、買い物にも給付が付きます。
今後ますます利用が増えそうですね。

GoToの詳細について、ここで書くことはしませんが、いくつか注意点がありますので、注意喚起のため書いておきます。

まず、このキャンペーンは公費出張には使えません。逆に言えば民間のビジネス出張では使えます。
実際、旅行業者のウェブサイトでもビジネス出張の案内が掲載されているようです。
また、社員研修や慰安旅行などでも使えます。

さて、問題となるのは、GoToを使って出張した場合等の消費税処理です。
このキャンペーンを使うと、旅行代金の35%が割引き(政府が負担)されます。
ぱっと見、35%安くなるので消費税の処理も実際の支払額で処理しそうですが、
消費税の処理では減額前の価格で処理することになっています。
つまり、仮に1拍2日 20,000円(税込)の出張旅費がかかった場合、
実際には13,000円の負担で済むわけですが、課税仕入れとなるのはあくまでも20,000円です。
登録された旅行業者(〇天とか〇ゃ〇ん)を利用した場合、最初から給付分を控除された金額で請求されますので、仕訳は以下のようになるはずです。
旅費交通費 20,000円 / 現金預金 13,000円
           / 雑収入   7,000円(不課税)

宿泊先に直接支払った場合には旅行者本人が還付申請を行うことになります。
この場合、従業員と会社のどちらが還付分を受け取るかという問題が出てきます。
個人的には会社の業務で出張しているのですから、会社が受け取るべきだと考えますが、従業員が受け取ることにすることも可能でしょう。
その場合、従業員がキャッシュを受け取ることになるのですが、これは所得税の対象か?? 悩みは尽きません。

このアーカイブについて

このページには、2020年10月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2020年9月です。

次のアーカイブは2020年11月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

カテゴリ

Powered by Movable Type 4.261