医療機関の出口戦略~目指せハッピーリタイア!その②~

承前
前回は利益最大化を目的とする行動としての出口戦略のお話をしました。
今回は医療機関にこれがどのように当てはまるのかについてです。

私が所属する(公社)日本医業経営コンサルタント協会では、昨年9月に事業承継に関するアンケート調査を行っています。
調査結果の詳細は、これが厚労省の委託事業であるためグラフ等は転載できないのですが、面白い結果が出ていました。
個人開設医療機関の場合、親族内承継が60%(34件)、残り38%(22件)は従業員か第三者への承継です。
また、事業承継を行った理由としては後継者不足が55%(31件)、医療連携強化が5%(3件)、その他の理由(高齢化、世代交代)が7%(4件)、無回答が33%(19件)となっています。
ここには経営不振という承継理由が出てこないのですが、アンケートの回答には経営不振という項目がありましたので、経営不振が事業承継の直接の理由ではないと考えている経営者がほとんどだということになります。

法人の場合は、親族内承継は41%(60件)、第3者間承継51%(75件)従業員(勤務医)承継は6%(9件)となっています。
また、事業承継を行った理由としては、後継者不足が65%(96件)、経営不振が5%(7件)、医療連携強化が2%(3件)その他の理由(譲渡側医師の個人的理由、健康上の理由等)が14%(21件)、無回答が14%(20件)となっています。

ここで分かるのは、後継者不足により事業承継をやむなくされている医療機関が相当数あると言う事実です。
また、無事に承継できたのはまだよい方で、承継できずに廃業、あるいは休眠となった医療機関も多いのではないでしょうか。
(アンケートの項目に「事業承継を行おうとしたが実現しなかった」という項目はなかったので、そのようなケースが集計されないのが残念です。)

事業を承継できたケースは、どのような理由や方法にせよ撤退ができたということです。
撤退戦は戦いの中でも最も難しいとされています。それだけにやり遂げたら賞賛されます。キスカ島しかりダンケルクしかり。これによって最も貴重な資源=人材の救出に成功しました。

では、医療機関の経営者(個人、法人)にとって貴重な資源とは何でしょうか?
資金、人材、いろいろと貴重な資源はありますが、絶対的に有限であり、かつ貴重なのは「時間」だと思います。
私もそうですが、医師などの専門職は基本的に「職を辞めさせられること」がありません。
法人勤務等で「定年退職」などはあるでしょうが、希望すればいつまでも医師としての仕事は続けられます。
しかし、自分の希望(仕事の供給)と市場の要求(仕事への需要)が一致するとは限りません。
そして、ライフサイクル仮説によれば、年を取るにしたがって需要は減ります。
そう、いつかは辞めなければならないのです。

そこで、今日最初の話しに戻ります。
無事に承継できなかったとしたら?

貴重な時間を浪費し、たいして儲からない(あるいは赤字かも?)仕事を続けることにならないでしょうか?
それよりは、何か自分の好きなことや新しいことに貴重な資源を使うほうが、全体としての効用(人生の満足度)はあがるのではないでしょうか。
(もちろん、仕事が無上の喜びだ!と仰るかたはそのままで幸せでしょう。羨ましいかぎりです。)

そのためには、いつ辞めるのか(撤退するのか)目標を定め、予め出口戦略を立てておくべきです。
当然ながら、出口戦略の中には事業承継もプランAとして含まれます。重要なのはプランAが遂行・達成できないときにプランB、プランCがあるかどうかだと思います。
出口戦略を考えることは、なかなか難しいことではありますが、ハッピーリタイアのためには非常に重要なことです。
今回は自戒を含めてのお話でした。

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このページは、yoshikawaが2020年8月27日 17:08に書いたブログ記事です。

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